のんびりNCロードスター日記

はてなダイアリーから移行してきました。NCロードスターとか、猫とか、写真とか。

ロードスターとMAZDAのデザインテーマ

先日、NCロードスターがマイナーチェンジされ、顔つきも少し変りました。
いわゆる「NC3」の登場です。
 
次期NDロードスターについて、アルファロメオへのプラットフォーム提供(および生産請負)も協議されており、より具体的な情報が漏れ聞こえてくる日も近いと思われます。
 
そんな昨今、「ロードスターMAZDAのデザインテーマ」が気になったので、個人的な感想を交えてメモしておきたいと思って、(主にエクステリアデザインについて)ブログに書いてみることにしました。
 
【NA型】(1989〜1997年)「ときめきのデザイン」
 1980年代・バブル期にMAZDAが提唱していた「ときめきのデザイン」。このテーマの市販プロダクトはNAロードスターが最初だと言われています。デザインスケッチよりも、プロトタイプのモックアップよりも、生産車のデザインが一番カッコイイ。「能面をイメージした」とされる顔つき。茶室をイメージしたとされるインテリア。そして何よりコンパクトにキュッと纏まっていながら伸びやかさも感じされるプロポーション。モデルライフを通じて、大きくデザインを変えることがなかったことからも、多くの支持を集めていたことが伺えます。
ロータス・エランのパクリ」なんて揶揄されることもありましたが、実はそんなに似ていません。これぞロードスターの原点。今、街中で見かけても「コンパクトでカッコイイなぁ」と思えます。(^^)
ちなみにNA6CEのカタログはBow。氏のイラスト写真が印象的ですが、写真も素敵です。特に「犬と一緒に写っている黒ハードトップを載せた赤いロードスター」の写真が私のお気に入り。こんな風に撮ってみたいです。
更に脱線しますが、NAと同時期のFD3S RX-7のカタログ写真も超カッコイイです。これに対し、最近のクルマのカタログ写真はCGで作られているのか、なんか嘘っぽくて萌えないものが多いです。(笑)
 
【NB1型】(1998〜2000年)
 NBのエクステリアデザインついては「コンセプトが無い」とチーフデザイナー氏もおっしゃっています。但し、同氏曰く「ときめきのデザイン」のテイストを入れているとのこと。いわゆるキープコンセプト。NAのボディに抑揚をつけてモダナイズする方向でデザインされています。
しかし正直、NBのデビュー当時はデザインに対する不満の声も多かったと思います。リトラクタブルのヘッドランプを固定式にしたために、ある意味「没個性的な顔」になってしまったことに批判が集中しましたが、当時の私はむしろ「リアのいかり肩」が許せませんでした。(^^;
 
【NB2型〜】(2000〜2005年)コントラスト・イン・ハーモニー。MAZDAファミリーフェイス(五角形グリル)。」
 MAZDAロードスターで一時代を築いた後も、日本の自動車メーカーからはなかなかライバルになるようなクルマは現れなかったのですが、1999年にHONDA S2000TOYOTA MR-Sといったオープンスポーツカーがリリースされました。MAZDAとしても、NBをマイナーチェンジして商品力をアップする必要に迫られていた時期です。
当時MAZDAが採用し始めたファミリーフェイスである「五角形グリル」を取り入れるのは必然だったと思われます。また、ヘッドライトがシャープな造形に改められました。
当時、私個人としては「程よくシャープでカッコよくなった」という感想でした。当時のMAZDAは「クラフトマンシップ」と称して品質感の向上に取り組み始めたこともあって、バンパーやライト周りのチリの合い具合などが改善されていたことも、カッコ良くなったと感じさせる一因だったと思います。
また、この頃にはNBのデザインもだいぶ見慣れてきて、「これはこれでカッコイイじゃん」と思い始めていました。そして最近はNBに対して「ペッタンコに低くワイドで、うねりのあるボディはイタリアン・コンパクト・スポーツカーみたいでカッコイイ!」と思うに至っています。
 
【NC1型】(2005〜2008年)「シンプル。ロードスターらしさ。楕円。」
 実は上記はMAZDAのデザインテーマではありません。「Zoom Zoom」というテーマはデザインに特化したものではありませんので、デザインとしては「アスレチック」というキーワードがあった頃です。
NC1が登場した当時もMAZDAは「五角形グリル」をファミリーフェイスとしていましたが、「ロードスターには不要!」として独自路線のデザインテーマを採用しています。
但し、(様々な制約があるにせよ)「プランビューが楕円である故に太って見える」「ボンネットやヘッドライトの位置が高いため、腰高に見える」「ボンネットの分割線とヘッドライトが離れているため、締まりが無いように見える」等の批判的意見もあります。
しかし、個人的には(オーナーとして贔屓目もあるかもしれませんが)、プラットフォームから一新する初の本格的なモデルチェンジに際しても「ロードスターらしさを継承したい!」という思いが強く伝わってくる、ピュアなデザインだと思います。どことなく癒し系の優しさを感じさせる顔立ち、私は大好きです。(^^)
 
【NC2型】(2008〜2012年)「NAGARE(流れ)」?
 MAZDAは明言していないと思いますが、フロント周りなど所々に2代目アテンザアクセラ、3代目プレマシーが採用した「NAGARE」のデザイン要素を盛り込んでいることは見て取れます。
NC2にマイナーチェンジした際の感想は、以前の日記をご参照ください。
リアバンパーの形状は、NC1より一体感を増して良い感じなのですが、リアコンビランプ全体が赤い感じ(=赤の面積が広い)なので、ボディカラーとのマッチングが難しそうです。
フロントについては、NC1の「優しい顔」に対して、NC2は素直に「シャープでカッコイイ」と思えます。
 
【NC3型〜】(2012年〜)「魂動 - Soul of Motion -」?
 NC2のデザインのまま生産終了してND型にフルモデルチェンジするものと思っていましたが、2012年7月のマイナーチェンジでフロントの顔つきが変わっています。五角形グリルの形状が微妙に変更され、昨年からMAZDAが提唱しているデザインテーマ「魂動 - Soul of Motion -」デザインのCX-5等と共通性を持たせています。
また、ソフトトップモデルでは、ヘッドライトユニットがブラックアウトされたり、ホイールがガンメタに塗装されたりと、精悍さが強調されています。サイドやリア周りはほぼ変更されていないように見えます。
ラジエータグリルの形状のせいか、NC2よりもシャープさが弱まり、少しマイルドな笑顔になった気がします。
カッコ悪くなった訳ではないのですが、現在のところ、私には正直このデザイン変更の必然性が判りかねています。
もしかしたらNDの登場が少し遅れるということなのかもしれません。
 
 
思ったよりも長文になってしまった。。。
興味ない人には苦痛だろうな。(^^;;

 
 E-510、ZD14-54 F2.8-3.5、1/100秒、F9.0、ISO100、絞り優先、66mm相当、Capture One 5.2>
唐突に古い(2009年7月)の写真をアップしてみる。
 
【2012.08.13追記】
NC3のフロントマスクのデザイン変更ですが、某自動車雑誌の記事を読んでその理由が判明しました。MAZDAの現行ロードスター開発主査である山本氏へのインタビュー記事で、以下の旨の記述がありました。
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 ・衝突時の歩行者保護にあたり、フロントバンパー全長を延ばす必要が生じた。
 ・しかし、全長を延ばすことによるサイズアップ(および慣性ヨーモーメントの増大)はロードスターでは避けるべき。
 ・全長を延ばさないで済ませるために、ポップアップボンネットを採用した。
 ・このポップアップボンネットシステムによる重量増加を少しでも相殺するために、フロントバンパを再設計しMC前比で軽量化した。
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他にも、NC3の一部グレードで採用された3rd Generation Limitedと同じデザインのアルミホイールも、ホイールのバネ系数のマッチングを最適化して乗り心地を改善→結果的に軽量化・・・なんてネタもあったりして。
やっぱり "ロードスターロードスターであるために"、MAZDAのスタッフが真面目に育ててくれているんだと感激するエピソードでした。
この調子なら、NDも期待して良いんじゃないですかね!